花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 海外旅行を特集した本や写真集を借り、またすこし歩いて喫茶店へと入る。ここは、とにかく、コーヒーが美味しい。内装も、トルコ風のデザインで照明も木の壁も全部こだわりがあって。雰囲気がいい。いまどき店内で煙草が吸える喫茶店があることにも驚いたが。居心地がいい。

 自分がからっぽになれる。ただ空間を楽しんでぼうっと……店主の淹れたハンドドリップコーヒーを味わう。

 ふふ、幸せ。

 あれ、恋生の口癖が移ったみたい。やだなぁ、毎日一緒に過ごしているから……。

(いやいや)

 慌てて本で自分の顔を隠す。サトラレじゃなくてよかった。もし、自分の内面が世間様にダダ漏れだったら自殺している。濃密で、情熱的だった夜の記憶が鮮明に残っており、恋生宅にいるとそれが鮮やかに蘇るからこそ、こうして別の場所へと足を運んでいるのに。考えるのは恋生のこと。それから……。

(それから)
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