花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
どうして生きていこうか。本を読んでいる間は、嫌なこととか、不安な未来のこととか、一切を忘れられているけど、現実に戻ると私はただの無職の二十五歳女なのだ。いったいなにが出来るのか、自分にも分からない。恋生と一緒にいる間は、まるでセレブ妻の気分でいられるけど、それって結局まやかしの自分――。
考えが沼に入り込んだところでほっと周囲を見回す。同じように、本を読んだり、ぼうっとしたり、店の雰囲気を楽しんでいるかたばかりだ。煙草の煙が漂うのでさえアクセントとなる。いままで、煙草なんて嫌いで一度も吸ったことがなかったけれど、まぁそこらへんに漂っているなら、悪い気はしないよね。宇多田ヒカルの曲の歌詞に煙草って出てきて、あれ、憧れだったなぁ……。
(First Love……)
砂浜で。潮騒の混ざった音を聴いたはず……あのとき。誰かと寄り添って……。
(駄目だ。思い出せない……)
これ以上を思い出すのを脳が拒否する。私の頭のなかには空白がある。その空白を蘇らせようと試みると必ず失敗に終わる。思い出したくないなにかがあるのだ。なんなのかはだいたい……想像がつくけど。
東日本大震災。ちょうどあの頃、東北を訪れていた私は――。
考えが沼に入り込んだところでほっと周囲を見回す。同じように、本を読んだり、ぼうっとしたり、店の雰囲気を楽しんでいるかたばかりだ。煙草の煙が漂うのでさえアクセントとなる。いままで、煙草なんて嫌いで一度も吸ったことがなかったけれど、まぁそこらへんに漂っているなら、悪い気はしないよね。宇多田ヒカルの曲の歌詞に煙草って出てきて、あれ、憧れだったなぁ……。
(First Love……)
砂浜で。潮騒の混ざった音を聴いたはず……あのとき。誰かと寄り添って……。
(駄目だ。思い出せない……)
これ以上を思い出すのを脳が拒否する。私の頭のなかには空白がある。その空白を蘇らせようと試みると必ず失敗に終わる。思い出したくないなにかがあるのだ。なんなのかはだいたい……想像がつくけど。
東日本大震災。ちょうどあの頃、東北を訪れていた私は――。