シンデレラは豪雨の中で拾われる

ガラスの靴

 翌日、昼過ぎまで寝過ごした私は、お昼ご飯までしっかり葛城さんのお世話になってしまっていた。
 そして、現在は東京駅のロータリーで彼の車から降りた所。相変わらず、黒塗りの高級車には慣れないまま。

「本当にお付き合いしていただけないのですか?」

 何度目かの嬉しい言葉に、私は変わらず頷いた。彼は悲しげに眉を下げている。
 
「…お気持ちは嬉しいんです。でも、お互いの生活もあるでしょう?」
「遠距離でもいいじゃないですか」
「葛城さんのお仕事柄、そういう訳にもいかないのでは?」

 そう言うと、ウッと言葉を詰まらせる葛城さん。昨日、あれだけ散財しても全く痛そうにしていないところから勝手に予想したのだが、どうやら間違っていないようだ。今も尚、彼が何の仕事をしているのかは聞けていない。

「本当にお世話になりました。帰りの鞄だけではなく、昨日買っていただいた服まで…本当に頂いて良いのですか?」
「生憎、女性物の服は持っていても仕方ないので貰ってください」

 最初から私にくれる気だったのだろう。その断りにくい言葉選びにすら、配慮が伺えてしまう。
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