シンデレラは豪雨の中で拾われる
ダメ元でスマホで検索を繰り返すも、やはり希望は見つからない。ヒットするのは、この状況を逆手にとったような高額な宿泊プランばかりだ。私は深く息を吐き出し、膝から崩れ落ちそうなのを必死に堪えた。
その時、誰かが私の目の前で立ち止まった。
(東京に知り合いはいないはずだけど…)
不安に思いながらも意を決して顔を上げる。
そこには、モデル並みに整った容姿をした男性が立っていた。
「大丈夫ですか?随分と濡れているようですが…。もしや、この大雨で動けずにいるのですか?」
完璧に仕立てられた高級スーツ。立ち姿から伝わる品の良さ。
全てに対して完璧としか言えない彼の瞳が、私の顔をまっすぐ捉えていた。
「し、新幹線が止まってしまい、帰れずにいたんです…」
彼に見惚れていた私は、ハッとなり何とか言葉を返す。しかし、情けなくも自分の声が震えているのを感じた。
「この近くなら送って差し上げたいところですが、新幹線となると遠方でしょうか?」
「はい。日帰りの予定だったのですが帰れそうにないので、この辺りのホテルを探していました」
「おやおや。それは大変ですね」
素直に頷くと、彼は顎に手を当てて何やら考え出した。その姿さえも絵になる美しさだ。
しばらくすると、彼はスマホを取り出してどこかに連絡を入れた。何事かと首を傾げていると、通話を切った彼は爽やかな笑顔で手を差し出した。
「私は、葛城 玲央と申します。もしよろしければ、私と一緒に来ませんか?」
葛城と名乗った男性の言葉に、私の思考回路は一時停止した。
「あ、ありがとうございます。でも、…」
葛城さんは、私の焦りをすべて見透かしたように、抗いがたい自信を滲ませた笑みを浮かべた。
「今日は金曜日。この大雨では、ロクにホテルも空いていないでしょう。それに、貴女はひどく濡れている。そのままでは風邪をひいてしまいますよ」
彼は私のずぶ濡れのスーツに一瞬視線を落とし、再び私の目を見つめた。
「貴女が嫌がることは何もしません。約束しましょう」
それは、非日常極まりない誘いだった。
私の心の中の平凡な常識が警鐘を鳴らし始めた。だが、冷え切った体と、この現状を打破したいという切実な思いが、常識の声を掻き消していく。
そして何より、私の平凡な人生の中で、これほどまでに強烈な引力を持つ人に、出会ったことがなかった。
気づけば、彼から伸ばされた手をとっていた。
その時、誰かが私の目の前で立ち止まった。
(東京に知り合いはいないはずだけど…)
不安に思いながらも意を決して顔を上げる。
そこには、モデル並みに整った容姿をした男性が立っていた。
「大丈夫ですか?随分と濡れているようですが…。もしや、この大雨で動けずにいるのですか?」
完璧に仕立てられた高級スーツ。立ち姿から伝わる品の良さ。
全てに対して完璧としか言えない彼の瞳が、私の顔をまっすぐ捉えていた。
「し、新幹線が止まってしまい、帰れずにいたんです…」
彼に見惚れていた私は、ハッとなり何とか言葉を返す。しかし、情けなくも自分の声が震えているのを感じた。
「この近くなら送って差し上げたいところですが、新幹線となると遠方でしょうか?」
「はい。日帰りの予定だったのですが帰れそうにないので、この辺りのホテルを探していました」
「おやおや。それは大変ですね」
素直に頷くと、彼は顎に手を当てて何やら考え出した。その姿さえも絵になる美しさだ。
しばらくすると、彼はスマホを取り出してどこかに連絡を入れた。何事かと首を傾げていると、通話を切った彼は爽やかな笑顔で手を差し出した。
「私は、葛城 玲央と申します。もしよろしければ、私と一緒に来ませんか?」
葛城と名乗った男性の言葉に、私の思考回路は一時停止した。
「あ、ありがとうございます。でも、…」
葛城さんは、私の焦りをすべて見透かしたように、抗いがたい自信を滲ませた笑みを浮かべた。
「今日は金曜日。この大雨では、ロクにホテルも空いていないでしょう。それに、貴女はひどく濡れている。そのままでは風邪をひいてしまいますよ」
彼は私のずぶ濡れのスーツに一瞬視線を落とし、再び私の目を見つめた。
「貴女が嫌がることは何もしません。約束しましょう」
それは、非日常極まりない誘いだった。
私の心の中の平凡な常識が警鐘を鳴らし始めた。だが、冷え切った体と、この現状を打破したいという切実な思いが、常識の声を掻き消していく。
そして何より、私の平凡な人生の中で、これほどまでに強烈な引力を持つ人に、出会ったことがなかった。
気づけば、彼から伸ばされた手をとっていた。