シンデレラは豪雨の中で拾われる
王子様は策を講じる
葛城 玲央は、真剣な顔でパソコンを見つめていた。ここは、自身の会社である『レグロレルス株式会社』の社長室。この場所こそが、彼の仕事場だ。
彼のデスクの上には、1枚のよれた名刺が置かれていた。水で濡らしたような滲みがあるが、幸いにも字は読める程度だった。
『株式会社エールドリア 営業企画部 佐々木 美玖(ささき みく)』
彼は名刺を手に取り、親指で彼女の名前をそっと撫でた。柔らかな微笑みが、彼の唇に浮かぶ。それは獲物を手に入れた肉食動物のような、満足げな笑みだった。
「…まさに奇跡ですね」
あの夜、豪雨で足止めされた彼女を見かけたのは、まったくの偶然だった。しかし自分の勘は、彼女を「運命」だと囁いた。一夜を共にしても尚、彼女が自分の世界から逃げ出そうとした時、自分でも抑えきれない程の執着が顔を出した。でも、理性的に考え、一度は彼女を解放した。外堀から埋め、確実に手にするための準備期間が必要だったから。
しかし、そんな燃え滾る気持ちも、駅を離れるにつれて段々と萎んでいった。
結局、彼女を送った後はどこにも寄る気になれなくて自宅に直帰した。家に着くと共に増した喪失感に苛立っていた時、床に落ちた1枚の紙に気が付いた。レシートにしては短く、しっかりとしたそれは名刺だった。
スーツのポケットに入っていたのが落ちたか、鞄の荷物を移し替える時に落ちたか。どちらにせよ、
(美玖さんの、名刺。これなら、会社名も支社も分かる)
その事実に気づくと同時に、どうしようもない気持ちが湧いた。
『何としても彼女を手に入れたい』
そんな思いを胸中に渦巻かせ、パソコンを立ち上げて調べに入った。
彼のデスクの上には、1枚のよれた名刺が置かれていた。水で濡らしたような滲みがあるが、幸いにも字は読める程度だった。
『株式会社エールドリア 営業企画部 佐々木 美玖(ささき みく)』
彼は名刺を手に取り、親指で彼女の名前をそっと撫でた。柔らかな微笑みが、彼の唇に浮かぶ。それは獲物を手に入れた肉食動物のような、満足げな笑みだった。
「…まさに奇跡ですね」
あの夜、豪雨で足止めされた彼女を見かけたのは、まったくの偶然だった。しかし自分の勘は、彼女を「運命」だと囁いた。一夜を共にしても尚、彼女が自分の世界から逃げ出そうとした時、自分でも抑えきれない程の執着が顔を出した。でも、理性的に考え、一度は彼女を解放した。外堀から埋め、確実に手にするための準備期間が必要だったから。
しかし、そんな燃え滾る気持ちも、駅を離れるにつれて段々と萎んでいった。
結局、彼女を送った後はどこにも寄る気になれなくて自宅に直帰した。家に着くと共に増した喪失感に苛立っていた時、床に落ちた1枚の紙に気が付いた。レシートにしては短く、しっかりとしたそれは名刺だった。
スーツのポケットに入っていたのが落ちたか、鞄の荷物を移し替える時に落ちたか。どちらにせよ、
(美玖さんの、名刺。これなら、会社名も支社も分かる)
その事実に気づくと同時に、どうしようもない気持ちが湧いた。
『何としても彼女を手に入れたい』
そんな思いを胸中に渦巻かせ、パソコンを立ち上げて調べに入った。