推しで一途な婚約者は、国一番の人気者!つまり毎日が修羅場です。

3章_プロローグ:ある親友の独白

アルフレード・ランゲ。
容姿、性格に人格、家柄、家族仲、頭の良さ、将来性…。とにかく最高の条件を揃えていたため、特に女性からのアプローチは、執拗に追っかけられていた。
同じ学園に通っていたため小さい頃からその様子を見る機会が多かったが、本当に人気が高かった。
冬の雪壁も溶かす勢いで時所関係なく大勢に。あまりの人数に迫られたアルフレードは、恐怖のあまり泣き顔になっていたのをよく覚えている。

その影響で、友達作りも難航していたようであった。
意中の相手や婚約者がアルフレードばかり構うから気に食わない。
仲良くなっても、周囲から比較されて惨めな気分になる。
他にも…あまりの成績の違いに謙遜してしまう、一緒に追われたくない、などもあった。
故に軍に入隊するまで同年代の友人と遊んだことがなく、兄たちがいなければ1人屋敷で訓練に励むしかなかった、と親友から過去話を共有された時は流石に同情した。

彼女たちは怖らがせるまでアプローチしたにも関わらず、1人も相手にされなかった。
同い年の可愛い子も、年上の資産家も、年下のマドンナですら。
アイツの心を射止めることはできなかった。相手の意向を無視していれば当たり前だと思うが、彼女たちは不思議がっているのだからやるせない。
恋は盲目だと古来から言われているが、もはや病気と言っても過言ではないだろう。

『アルフレードには結婚願望がない』

結婚適齢期を迎えていたにも関わらず、上官の誘いにも乗らなかったアルフレード。誰も相手にされず、浮いた話も出てこない。家族もアイツの結婚の催促をしていないようであった。
ならば、アルフレードには結婚には興味ないのだろう。
そんな考えが巡り始めていた矢先、国1番の人気者は婚約を結んだ。
国外からも悲鳴が上がったと噂されている婚約は、相手が予想もしていなかった娘だったから騒ぎは大きくなった。

相手は真っ白な髪と真っ赤な瞳を持ち、強大な力で周囲を不幸にすると噂の”化け物娘”であったから。

『彼女を蹴落とせば、私がアルフレードの婚約者になれる!』

『アレが認められて、私が認められないなんておかしい!』

意中の相手が婚約したのだから潔く諦めれば良いのに、そんな事には一切ならなかった。婚約者、の存在が逆に希望を抱かせてしまい、熱意は冷めるどころか地獄の炎が如く燃え上がった。3年経った今も、アルフレードの伴侶の座は狙われている。
アルフレードと一応幼少期から知り合いであり、婚約者と仲の良い私から情報を得ようと探りに来る図々しさにはいっそ拍手を送りたくなる。

嘘だ。溜息ばかりが出る。

私としては、アルフレード・ランゲの魅力が本当にわからない。
確かにタイプではないが顔は整っているし、運動神経や魔術センスは目を見張るものがある。
ただ、それ以上にアイツの相手の方が1億倍魅力的だと思っている。周囲に語り聞かせているが全く伝わらないのが残念でしょうがない。

そんな話題沸騰、人気永劫絶頂のアルフレード・ランゲの婚約者とは。

アルフレードが初恋相手で、かつ推しとして崇め推し活に精を出している私の親友。

英雄の末娘、西の召喚公の妹で幻獣種の愛し子。
父親の死後、彼女の家族と契約する大精霊との悲しき接触事故で特別な力を得た娘。
優れた魔力量に能力を有し、家族一の努力家で、笑顔がとびきり可愛らしい西のお姫様の1人。

アンジュ・ブルナーである。
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