⁂👑☆『 天からの贈りもの』―― 新しい愛を見つけ、私たちを捨てて意気揚々と家を出ていった元夫が やり直したいと縋ってくるのですが──。今更そんな無茶振りを言って困らせないでください~
26. ◇事故に遭う
それは啓吾と離婚して1年余りが過ぎた頃のこと。
啓吾のお母さんの話によると……。
もうとっくに啓吾と大山貴理は結婚しているものと思っていたのだけれど、
どういうわけかまだ籍を入れていないらしい。
5日前にふたりで出掛けた旅先でのこと。
交差点で信号無視の大型のトラックに追突され、貴理さんのほうは軽傷で
済んだらしいのだが、啓吾は右側面から突っ込まれ下半身にひどいダメージを
くらったのだとか。
そのため、手術したあと入院しているのだが、自賠責と任意保険でなんとか
やりくりしているものの、相手方は職務中の事故ということで、やり手の
弁護士がついており、いろいろとややこしいことになっていて、義両親と
本人ともに参っているらしい。
そこで啓吾がはたと、所得補償保険というのにいつだったか
私が熱心に勧めていたことを思い出したらしく、それで義母がもし掛けて
いたのなら私に手続きをしてもらいたいと訪ねてきたみたい。
働けなくなった時に、保険が降りるのだ。
そう、私は夫婦揃って掛けてた。
だけど、離婚の話が出た段階で、離婚する前に啓吾の保険は解約していた。
だって、きれいな貴理さんと新しい人生を歩む幸せな人には必要ないもの。
むちゃくちゃな論理は分かってる。
だけど、なんで私に対して無慈悲なことをする相手の保険……
かけ続けなきゃいけないの?
そんな人どこにもいないよね?
いないよね?
26-2. ◇保険は加入していません
もし、解約し忘れて掛け続けてたとしても、私は教えなかったかもしれない。
そんなことがちらっと頭を過った。
だから、あの当時思い出してすぐに解約した自分を褒めてやりたい。
悪魔にならなくてすんだんだもの。
あたし、天国に行きたいからね。
◇ ◇ ◇ ◇
「お義母さん、その所得補償保険のことなんですけど、啓吾さんに勧めました
けどあまり熱心ではなかったので結局入ってなかったんです」
私は解約したというのもなんだか憚られたので、きれいに済ませられるよう
最初からそんな保険には入ってなかったということにした。
これくらいの嘘は許されるよね?
啓吾だってこのほうがいいと思う。
諦めもつくというものよ。
自分の不貞で妻を捨てたがために、加入していた保険を解約されて、
それでこの先保険金がおりないなんて知ったら心中複雑だと思うもの。
「そうなの?
あの子ったら、何やってんのかしら全く……」
お義母さんは――――
どうして私に勧められた時に、息子はちゃんと話を聞いて
保険に入らなかったのかと悔しがった。
一縷の望みをかけ、それもきっと保険に入っているのだろうと思って
訪ねてこられたみたいで、落ち込み方が半端なかった。
こんな時に、ざまーみろ、とまでは思えないけれど、私は私で、この流れに
対してものすごく心中思うところがありありだった。
それは啓吾と離婚して1年余りが過ぎた頃のこと。
啓吾のお母さんの話によると……。
もうとっくに啓吾と大山貴理は結婚しているものと思っていたのだけれど、
どういうわけかまだ籍を入れていないらしい。
5日前にふたりで出掛けた旅先でのこと。
交差点で信号無視の大型のトラックに追突され、貴理さんのほうは軽傷で
済んだらしいのだが、啓吾は右側面から突っ込まれ下半身にひどいダメージを
くらったのだとか。
そのため、手術したあと入院しているのだが、自賠責と任意保険でなんとか
やりくりしているものの、相手方は職務中の事故ということで、やり手の
弁護士がついており、いろいろとややこしいことになっていて、義両親と
本人ともに参っているらしい。
そこで啓吾がはたと、所得補償保険というのにいつだったか
私が熱心に勧めていたことを思い出したらしく、それで義母がもし掛けて
いたのなら私に手続きをしてもらいたいと訪ねてきたみたい。
働けなくなった時に、保険が降りるのだ。
そう、私は夫婦揃って掛けてた。
だけど、離婚の話が出た段階で、離婚する前に啓吾の保険は解約していた。
だって、きれいな貴理さんと新しい人生を歩む幸せな人には必要ないもの。
むちゃくちゃな論理は分かってる。
だけど、なんで私に対して無慈悲なことをする相手の保険……
かけ続けなきゃいけないの?
そんな人どこにもいないよね?
いないよね?
26-2. ◇保険は加入していません
もし、解約し忘れて掛け続けてたとしても、私は教えなかったかもしれない。
そんなことがちらっと頭を過った。
だから、あの当時思い出してすぐに解約した自分を褒めてやりたい。
悪魔にならなくてすんだんだもの。
あたし、天国に行きたいからね。
◇ ◇ ◇ ◇
「お義母さん、その所得補償保険のことなんですけど、啓吾さんに勧めました
けどあまり熱心ではなかったので結局入ってなかったんです」
私は解約したというのもなんだか憚られたので、きれいに済ませられるよう
最初からそんな保険には入ってなかったということにした。
これくらいの嘘は許されるよね?
啓吾だってこのほうがいいと思う。
諦めもつくというものよ。
自分の不貞で妻を捨てたがために、加入していた保険を解約されて、
それでこの先保険金がおりないなんて知ったら心中複雑だと思うもの。
「そうなの?
あの子ったら、何やってんのかしら全く……」
お義母さんは――――
どうして私に勧められた時に、息子はちゃんと話を聞いて
保険に入らなかったのかと悔しがった。
一縷の望みをかけ、それもきっと保険に入っているのだろうと思って
訪ねてこられたみたいで、落ち込み方が半端なかった。
こんな時に、ざまーみろ、とまでは思えないけれど、私は私で、この流れに
対してものすごく心中思うところがありありだった。