シンデレラ・スキャンダル

 ふと、栞ちゃんから借りた彼らの資料映像を思い出す。全て見終わっていないけれど、そこにはわたしの知らなかった彼らがいた。

 Legacyはデビューして十五年。始めから順風満帆だったわけではないことを、わたしは初めて知る。

 今ではドームツアーで観客を数百万人規模で動員する彼らが、食べるものにも困っていたこと、借金をして生活をしていたこと、デパートの屋上や駅前広場で数人の観客を前にライブを続けていたこと。

 小さなビルの一角で、メンバーと数人のスタッフだけで立ち上げた芸能事務所は、今や都心に大きな自社ビルを構えるほどになった。


 そして、デビューして、数百万枚のCDを売り上げるようになったLegacyは、メインボーカルの龍介さんが喉の病気を患う苦難に直面する。

 歌声どころか話すことさえも叶わない日々。ボーカリストが自身の喉にメスを入れる手術をするという恐怖。浮き沈みが激しく流れの速い芸能界で、一年以上の休養を要する不安。

 それでも彼らはひた向きに、真っ直ぐに、がむしゃらに、この道を駆け抜けてきたのだ。十五年間も。

 自分たち自身も含めてファンや世間の人に、活動のテーマとしている愛や夢、幸せを伝えていきたい、届けていきたいと話す龍介さんの声は、聴いているだけで胸が温かくなるほどに、力強く優しかった。


 目の前で、優くんとふざけ合って笑う彼。その屈託のない笑顔の裏に、どれほどの恐怖と絶望があったのだろう。

 声を失うかもしれない恐怖に打ち勝ち、今こうしてステージに立っている。その強さが、眩しい。ただ優しいだけじゃない。泥水をすするような苦しみを知っているからこその、深みのある優しさ。
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