シンデレラ・スキャンダル
言い合いを続けていると、隣に座っていた龍介さんから、ふいに「あ」という小さな声が漏れた。その声にわたしたち二人の視線が、自然と龍介さんの向かう先へと引き寄せられる。
龍介さんは、テーブルの少し先に立つ人物に向かって、小さくお辞儀をした。
「仁さん」
「どうも」
男性らしい顔立ちとは、こういう人のことを言うのかもしれない。彫の深さとは裏腹に優しく穏やかな瞳の龍介さんや、整っているけど女性のような柔らかさを兼ね備えている優くんとは違う。
はっきりとした眉毛に、くっきりした二重の大きな目が黒縁眼鏡に彩られているそのお顔は、どこからどう見ても業界人。Legacyのリーダーであると同時に、事務所の社長という事実。この人、ただものではない。
「本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
勢いよく立ち上がり、腰を折り曲げるようにして頭を下げると、大きな笑い声が降ってきた。
「あはは! そんなかしこまらないでよ! 龍から聞いてて、ずっと会いたいって思ってたんだ。ディアブロさんの話をもらって、こんな偶然あるかなって思ってさ。飲み会の話になったから、ぜひ秘書さんもってね」
「……そうだったんですね」
「元カレが役員っていうのは知らなくて。そこは本当にごめんね」
「あ、いえ! そんな」
「席を見えないようにしたから、楽しんでね」
卓也からは死角になる席はやはり偶然ではないらしい。
仁さんは数手先を見越して行動する、頭のいい人だと龍介さんが言っていた。そして正直で嘘が嫌いで、だから自分自身も嘘をつかない人。周りに無理だと言われることも、やり遂げるために努力を重ねて、這いつくばってでも信念を曲げることなく、前に進むことをその背中で教えてくれたのだと。
自分を見失わないこと。諦めずに立ち向かうこと。そして、愛する人たちを、仲間も、家族も、恋人も、ファンも、全ての人を大切にして守りぬくこと。仁さんから受け継いだその生き方を自分自身も後輩たちに教えたいと、ある日の電話で話してくれた。
龍介さんは、テーブルの少し先に立つ人物に向かって、小さくお辞儀をした。
「仁さん」
「どうも」
男性らしい顔立ちとは、こういう人のことを言うのかもしれない。彫の深さとは裏腹に優しく穏やかな瞳の龍介さんや、整っているけど女性のような柔らかさを兼ね備えている優くんとは違う。
はっきりとした眉毛に、くっきりした二重の大きな目が黒縁眼鏡に彩られているそのお顔は、どこからどう見ても業界人。Legacyのリーダーであると同時に、事務所の社長という事実。この人、ただものではない。
「本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
勢いよく立ち上がり、腰を折り曲げるようにして頭を下げると、大きな笑い声が降ってきた。
「あはは! そんなかしこまらないでよ! 龍から聞いてて、ずっと会いたいって思ってたんだ。ディアブロさんの話をもらって、こんな偶然あるかなって思ってさ。飲み会の話になったから、ぜひ秘書さんもってね」
「……そうだったんですね」
「元カレが役員っていうのは知らなくて。そこは本当にごめんね」
「あ、いえ! そんな」
「席を見えないようにしたから、楽しんでね」
卓也からは死角になる席はやはり偶然ではないらしい。
仁さんは数手先を見越して行動する、頭のいい人だと龍介さんが言っていた。そして正直で嘘が嫌いで、だから自分自身も嘘をつかない人。周りに無理だと言われることも、やり遂げるために努力を重ねて、這いつくばってでも信念を曲げることなく、前に進むことをその背中で教えてくれたのだと。
自分を見失わないこと。諦めずに立ち向かうこと。そして、愛する人たちを、仲間も、家族も、恋人も、ファンも、全ての人を大切にして守りぬくこと。仁さんから受け継いだその生き方を自分自身も後輩たちに教えたいと、ある日の電話で話してくれた。