シンデレラ・スキャンダル
「あれ、リサたちと一緒でしたよね?」

「ああ。今、テラスの方に」

「そうなんですか」

「そのドレス、綺麗だね……すごく似合ってる。そういう格好もするんだ」

「本当ですか? 嬉しい。これお気に入りなんです」

龍介さんの誉め言葉にそう答えたら、なぜか龍介さんの方が恥ずかしそうに笑って、「俺もシャワー浴びてくる」と足早に部屋に向かってしまった。龍介さんの言葉もその笑顔も、その行動もわたしの頬をゆるゆるとだらしなくさせてしまう。

彼の後ろ姿を見送っていたら、リサがリビングに戻ってきた。

「リサ、おはよう」

「アヤノ、キレイなドレス。ステキ!」

「ありがとう」

「綾乃、おはよう。今日はドレスアップね」

「潤さん、忍さんおはようございます」

「おはよう」

「リュウと家の前で会ったんだけど、聞いたわよ、綾乃」

「あ……」

「だから言ったじゃない」

案の定、だから言ったのにと忍さんに言われて、苦笑いを浮かべてしまう。

「ごめんなさい」

「何もなくてよかったわ」

そう言って、彼女はわたしを抱きしめた。もう恐怖はないはずなのに、その温もりに包まれて目が潤んでしまう。
< 54 / 146 >

この作品をシェア

pagetop