シンデレラ・スキャンダル
◇
彼が眠るベッドから抜け出して、傍にあった彼の大きめのシャツをはおりバスルームに向かう。ふわふわした頭のまま、バスルームに滑りこむように入り、蛇口をひねると勢いよくシャワーが頭に降り注いだ。
卓也と別れて、もうずっとまともな恋愛なんてしていない。卓也と結婚するのだと思っていたわたしは、それから出会う人全てを卓也と比べていたから。
わたしが見ていたのは、仕事とお金と肩書きだけ。都心の一等地の家があって、いい暮らしができて、いい車があれば、それでいいって。それに勝るものなんてなかった。
そうじゃないと自分のプライドが壊れていく気がしたから。
でも——
恋に落ちてしまえばそんなものはどうでも良くて、ただ触れあう指に、そして二人でいる空間に胸が高鳴る。彼の香りに包まれることがただ、嬉しい。
シャワーを終えて部屋に戻っても彼はまだ眠っていた。大の字で眠る彼。そのあどけない寝顔に、その豪快な寝相に笑ってしまうのに、伸ばされた腕を見ると、もうそこに行きたくて仕方がない。
もう一度、彼が眠るベッドに入り、その温もりを感じながら瞳を閉じた。こんなに温かい時間は初めて。
彼が眠るベッドから抜け出して、傍にあった彼の大きめのシャツをはおりバスルームに向かう。ふわふわした頭のまま、バスルームに滑りこむように入り、蛇口をひねると勢いよくシャワーが頭に降り注いだ。
卓也と別れて、もうずっとまともな恋愛なんてしていない。卓也と結婚するのだと思っていたわたしは、それから出会う人全てを卓也と比べていたから。
わたしが見ていたのは、仕事とお金と肩書きだけ。都心の一等地の家があって、いい暮らしができて、いい車があれば、それでいいって。それに勝るものなんてなかった。
そうじゃないと自分のプライドが壊れていく気がしたから。
でも——
恋に落ちてしまえばそんなものはどうでも良くて、ただ触れあう指に、そして二人でいる空間に胸が高鳴る。彼の香りに包まれることがただ、嬉しい。
シャワーを終えて部屋に戻っても彼はまだ眠っていた。大の字で眠る彼。そのあどけない寝顔に、その豪快な寝相に笑ってしまうのに、伸ばされた腕を見ると、もうそこに行きたくて仕方がない。
もう一度、彼が眠るベッドに入り、その温もりを感じながら瞳を閉じた。こんなに温かい時間は初めて。