気まぐれ王子と召使い
「お願い世那!また考え直してよ…」



何事かと思いギャラリーの中から覗き見ると、可愛いブロンドヘアーの女の子が瞳を潤ませながら私の隣の席の男に詰め寄っていた。



「しつこいっつーの。もう飽きたから。最初に言ったろ?飽きたらそこでおしまーいって」


「でも!まだたったの一ヶ月じゃん!!」


「たったの一ヶ月で飽きられる方が悪いじゃん。ハッキリ言ってつまんないよ、お前」



誰もが見惚れる美しい容姿で、目の前の彼女を冷めた目で見ている彼は涼井世那と言う。
私の幼馴染だ。



「また世那がなんかやってんのかな……」



周りの人達も、またやってる…と言った表情でその状況を眺めている。

多分さっきの話からしてあの子は世那の彼女だと思うんだけど、どうやら別れ話を切り出されてるみたいだ。


ブロンドヘアーの女の子は、瞳に涙を一杯に溜めて、ハラリと頬を伝わせた。



「……わかった……私のこと、もう1ミリも好きじゃないんだ」


「そーだよ。だからどっか行って」



(取り付く島もない)


世那は鬱陶しそうにシッシッと手で払う仕草をすると、彼女は顔を押さえて廊下に走り出してしまった。


彼女が教室から出て行った事を見届けると、世那は「見てんじゃねぇよ」とギャラリーに一瞥した。

朝っぱらからこんなドロドロとした物を見させられたクラスメイトが可哀想だと思いつつ、大体は野次馬根性で見てただけだから仕方ないかとも思う。




「おはようー、世那君」


「………」



無視。

さっきの出来事で機嫌が悪いから私の挨拶をわざとシカトしてるんだ。

でもまぁ、この態度にももう慣れたものなので特にリアクションする事なく弁当袋を黙って世那の机に乗せる。


わざわざ弁当を作ってきてやってるんだからありがとうの一つも言って欲しいものです。

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