気まぐれ王子と召使い
「夕香里」
ハッとして目の前の人間を見ると、無表情ながらも少し訝しげに私を見る姿があった。
「……大丈夫?夕香里」
「え、あ、うん。大丈夫だよ、琥珀君……それで、どうしたの?」
「この間、啓がまた皆で校内探検しようって言ってくれてね…日程はまだ決めてないんだけど、夕香里もどうかなって」
「あー……」
苦笑を浮かべてどうやって琥珀君を断ろうか考える。
他の人と交流を持とうとするなんて、そんなの、世那が許すわけない。
この間のいじめだって、世那の言うことを素直に聞かなかったから、あんな風にいじめられてしまったんだ。
調子に乗るとこうなるんだから、乗らないようにしなきゃいけないよね。
「ちょっとこれからはそういうのいけないかも…ごめんね」
「?嫌いになっちゃったの……?」
「そういう訳じゃないけど……でも、とにかく行けないんだ」
私の考えを悟られないように笑顔で断ると、琥珀君は表情を変えないままこてんと首を傾げた。
あまり納得がいってないみたいだ。