気まぐれ王子と召使い


昼休み。
相変わらず隣の席に誰もいない感覚は慣れない。


(これがあと一週間も続くのか…)


慣れたいような、慣れたくないような。


自販機に飲み物を買いに行く途中だって言うのに、世那の事をずっと考えている。

あんなに傍若無人の我儘王子だったのに、居なかったら居なかったでこんなにも寂しい気持ちになるなんて。


これは桜木先輩を馬鹿には出来ないぞ、と内心で自嘲していると、突然肩をトン、と軽く叩かれた。


不思議に思いながらも後ろを振り返ると、口角を上げて楽しそうに笑う顔見知りの姿があった。



「よっ、山吹」


「し、真堂!」



特徴的な猫目と明るい茶髪のサラサラとした髪質。

そして、胡散臭いような食えない顔で笑いながら私を見ている男は、去年私と同じクラスだった真堂 啓(しんどう けい)だ。


オカルトとゲーム好きな私とは結構話があって、よくクラスで話していたものだ。
心霊スポットを一緒に探検した仲でもある。


「久しぶりだな。不穏な噂を聞いてたから心配してたんだよ」


「不穏な噂って昨日の事かな…」


「正解!涼井と早崎の喧嘩に巻き込まれたって噂があったからな。怪我したって聞いてたけど、思ったよりピンピンしてるじゃないか」



んー?と首を捻る真堂に苦笑いをする。

世那が噂になるのは仕方ないにしても、私の話まで出回ってるのはちょっと嫌だなぁ。


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