気まぐれ王子と召使い
「なら俺と話そう、涼井。良い話題持ってきてるから」
「おい、馬鹿頭。いい加減このゴミ連れて帰れよ」
「真堂〜、そろそろ諦めてくれよー…いくらお前の話術があっても世那は厳しいって……」
甲斐君の言葉を気にも止めないで、真堂はニッと不気味なほど楽しげに笑った。
「涼井、お前中二の時にしたことで山吹にバレたくない事があるんじゃないか?」
真堂がそう言った瞬間、世那は血相を変えて真堂に掴みかかった。
「世那!!」
「せ、世那さん!?ど、どうしたの……?」
甲斐君と私が慌てて止めに入ろうとするも、世那の剣幕は半端じゃない。
それなのに、真堂は気味が悪い程冷静に口元に笑みを張りつけている。
「……落ち着けよ涼井。また"停学処分"になりたくないだろ?」
「……適当な事言ってんなら本気で殺すぞ」
「適当な事かどうかは山吹に聞いてみた方が早いかもな」
一体、何の話をしているんだ。
私にバレたくない事って?
そもそも中学が違う真堂が、なんでその話を知っているんだ?
頭の中がハテナマークで一杯になっている私とは違い、世那は不愉快そうに真堂を睨み付けたままだ。