運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 祖母・若葉(わかば)は、創業家である母の実家に生まれ、曾祖父から受け継いだ家業を、祖父とともに支えてきた女性だった。祖父が経営の舵を大きく切って事業を拡大した際、その功績と想いを象徴するかたちで社名変更が行われ、〝若葉〟という名が新社名に選ばれたと、私はそう聞かされている。
 
 その祖父母には娘がひとりだけしか生まれず、そしてその娘にも、またひとりの娘が生まれた――それが私だ。
 祖母や母が命を注いできたものを、ここで終わらせたくはない。そう願い続けてきた想いは、いつだって私の胸の奥に根を張っている。けれど、今はその想いの上に、ひと筋の不安が影を落としている。
 
 目の前のパソコンに目を移せば、先月末も業績の振るわない店舗がいくつか目についた。全体としての数字は維持していても、地方の支店の中には、そろそろ見直しが必要なところも出てきている。

「遠藤さん」
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