運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 だが次の朝、彼女は突然、食器を置く手を止めて小さな声で言った。
「……逃げてください」
「……え?」
 思わず顔を上げると、みちるは戸惑いを浮かべながらも、視線を逸らさなかった。

「ずっと見ていました。あなたがどれだけ我慢しているか。こんなのはおかしすぎるだから、逃げてください」
 その声は震えていたが、嘘ではないと直感できた。

「大丈夫。今夜、見張りの交代のタイミングを見て、私が誘導します。準備しておいてください。私だって……良心くらいは残ってるんですよ」

 最後に浮かべた彼女の少し寂しげな表情に、私は言葉を失った。
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