運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 激しい痛みに息が詰まり、視界がにじむ。耳元では結菜が驚いて泣き出す声が響いていたが、それがどこか遠くの音のように感じられた。

「結菜……痛いとこ、ない……?」

 朦朧とする意識の中で、必死に顔をのぞき込む。泣きじゃくっているが、血は流れていない。体も動いている。生きている。

 ――それだけで、よかった。

 安堵が胸をかすめたその直後。車のエンジン音が大きく唸りを上げ、そのまま夜の街へと逃げ去っていくのが聞こえた。
 逃げた――?
 その言葉が頭に浮かんだ瞬間、意識はすっと深い闇に引き込まれていった。


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