運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 思わず声を荒げて体を起こそうとしたが、全身に走る痛みに思うように動けない。
 それでも私は必死に結菜の名を呼んだ。
 
看護師は慌ててベッド脇に駆け寄り、「落ち着いてください、大丈夫ですから」と言いながら、私の肩をそっと押さえた。

「ちゃんと見てくれてますよ。今、呼んできますね」
〝見てくれてる〟? ――誰が?

 あのとき救急車を呼んでくれた人だろうか。それとも……。
 そう思いながら周囲に目を向けると、そこが病院の一室であることは明らかだったが、同時に異様に豪華な個室だということにも気づいた。

 ホテルと間違えてもおかしくないような高級なインテリアと、大きく開けた窓。だが、点滴やモニターの存在が、ここがやはり病院であるという現実を静かに示していた。
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