運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 部屋に入ると、すぐに用意しておいたバッグを手に取った。いつでも逃げられるようにと詰めていた最低限の荷物だ。その中には、会社に在籍していたときの資料も入っている。ほとんど自分用のもので、社外秘のものはないが、そのうち処分しようと思っていた。

 なんとなく、優希くんのこの間の電話のやり取りを聞いたこともあり、私はそれをバッグへと入れた。
 そして、洗濯さえできればしばらく困ることはない。そう思い最低限の衣類も入れた。急いでバッグを肩にかけ、再び車へと戻った。

 その後、車は数十分ほど走り、やがて閑静な住宅街に入っていった。都内にいることを忘れてしまうほど緑が多く、午前の陽光が木々の葉を透かしてキラキラと輝いている。
 車窓に見とれていると、やがて一軒の大きな門の前で車が止まった。すぐにガレージの扉が音もなく開き、車はその中へと滑り込む。そこは住居の一部というより、もはや独立した建物のように広々としていた。
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