運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 父は母を愛してなどいなかった。いや、むしろ、母と結婚するずっと前から麻子さんと付き合っていたという。
 貧しい家庭に育ち、どうしてものし上がりたかった父は、母を利用した。愛しているふりをして懐に入り込み、遠藤の家に入ることだけを目的としていたのだと。
 
 初めて琴音に会ったとき、彼女はこう言った。「あんただけ、お嬢様として生きてきたことが許せない」とその憎しみを込めた視線は、今でも忘れられない。
 それから琴音は父には気づかれないように、母の大切にしていた陶器を割ったり、物に当たって暴れたりもした。
 ただの嫌がらせではなく、明らかに私を追い出そうとするような行動だった。
 それでも父は、そんな琴音を叱ることはなかった。むしろ、どこか負い目があるのか、甘やかすばかりだった。
< 20 / 328 >

この作品をシェア

pagetop