運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 きらきらと目を輝かせながら、結菜がその小さな箱を手にした。

「そうだと思うよ。あとでゆうくんにお礼を言おうね」
 結菜にあわせて「ゆうくん」と呼んだ自分に一瞬戸惑ったが、それを悟られないよう努めて微笑んだ。
 結菜のためのものがあるということは……。
 
 気になって備え付けのウォークインクローゼットを開けると、案の定、私の服が整然と並んでいた。そこに掛けられていたのは、母が生きていたころによく好んでいた、淡いブルーやベージュなどの明るい色ばかりだった。
 
 母が亡くなってからは、私が少しでも着飾ったり、目立ったりするのは、琴音にとって許しがたいことだった。だから私は、これまで黒やグレーといった地味な色ばかりを選んできた。
 それだけに、目の前の服たちは懐かしさとともに、胸の奥をぎゅっと締めつけた。
 お母さん……おばあちゃん……。
 感傷に沈みかけたそのとき、ノックの音で我に返る。
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