運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
「私、ひき逃げにあったの。そのときね、あなたが私から引き離した優希くんが、偶然その場に居合わせて助けてくれたの。もう運命だと思ったわ。だから、もし本当に琴音が仕組んでくれたなら、そのお礼を言おうと思っていたの」

「なっ……嘘でしょう! そんなこと、あるわけない! だって……完璧に〝ひき殺すように〟言ったのに!」
 その瞬間、麻子さんが蒼白な顔で「琴音!」と叫んだ。
 私は静かに背筋を伸ばし、これ以上ここにいるのは危険だと悟った。録音はしっかり取れている。もう十分だ。

 スッと彼女たちに背を向けて歩き出すと、背後から「余計なことを口にしたら、私、何をするかわからないから!」という琴音の叫びが追ってきた。けれど、もう私は怯まない。脅しに屈することも、逃げることも、二度としない。

 会場に戻った私を見つけると、優希くんはすぐに気づき、「晴香、こっちへ」と声をかけてくれた。
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