運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 数日前、ミッドセスト社の不正が明らかになり、失墜した直後のタイミングで、全米一位に躍り出た巨大企業だ。
 そんな会社との提携は、朝倉グループにとっても、計り知れないほど大きな成果となるはずだった。

「お互い、今後の発展のためによろしくお願いしますな」
 おじい様がそう言って、ウェイターからワイングラスを取ろうとしたそのとき、おじい様のすぐ後ろにいた人物がぶつかったようで、ワインが少しこぼれ、袖元を濡らしてしまった。
 それを見て、私はすぐにバッグからハンカチを取り出し手渡す。

「染み抜きをされますか? お着換えを」
 そう問いかけたときだった。

「晴香じゃないか」
 ディーン社長の声に、私はゆっくりと振り返り、「ご無沙汰しています」と英語で答えた。
「ずっと会えなくなって、心配していたんだよ。元気だったかい?」
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