運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 ――聞き覚えがありすぎる声が、耳に飛び込んできた。私は思わず、小さく息を吐く。

 どこまでもタイミングの悪い人だ。
 今、この場には、トップ企業の代表者たちが集まり会話をしている。普通ならば、割って入るなど到底できない。
 けれど、あの人にはそれができてしまう。
 いや――昔から、周囲を見ずに自分の都合だけで動いてきた人だからこそ、こうして臆面もなく声をかけられるのだろう。
 背後から聞こえるその声の主は、まだ私の背中しか見ていないはずだ。きっと、私だとは気づいていない。
 けれど、私には一瞬で誰だかわかった。

 お父様――。

「ああ、ありがとう」
 会長がすぐそばで応じる声が響き、父はさらに言葉を重ねた。
「娘と妻も、もうすぐ到着すると思います。ぜひご挨拶をさせてください」
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