運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 こんなところに来て、どうするというのだ。乱暴にされたせいで髪は乱れ、メイクもすっかり落ちてしまっているはず。
 
 彼に会うことを一瞬でも願ってしまった自分に呆れて、もう帰ろう。そう思いかけたそのときだった。
エントランスに、一台の黒塗りの高級車が滑り込むように現れた。車種の判別はできないが、流麗なフォルムで、ただそこに佇むだけで格の違いがひしひしと伝わってくる。
 そして、その直後、その車から降りてきた人物に、思わず息を呑む。高身長で、均整の取れた体つき。スリーピースのスーツをまとい、どこにも隙がない。
 優希くん……。
 昔は、そう呼んでいた。けれど今、目の前に立つ彼は、その名を軽々しく口にできないほど、完成された大人の男性だった。住む世界が違う――そんな現実を、無言のまま突きつけてくるような圧倒的な存在感だった。
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