運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 足元にはふわりと沈み込むような感触の絨毯が敷かれ、内装までもが高級ホテルを思わせる。壁にはマットな黒を基調とした金属パネルが張られ、照明は目に優しい間接光が柔らかく灯っていた。

 表示盤に目を向けると、中層階はすべてスキップされ、停止階は最上階と五十四階のみ。選ばれた者だけが利用できる特別な空間だとひと目でわかる。

「住人専用で、食事ができる場所があるんだ。そこなら人目も気にならないし、落ち着いて食べられるから」
 優希くんがそう言った瞬間、エレベーターがポンッと品のある電子音を鳴らし、滑らかに停止した。
 扉が開くと、そこは一転して照明が抑えられた落ち着いた空間であった。モノトーンを基調とした重厚な内装の向こうには、全面ガラスの壁越しに煌めく夜景が広がっている。ビルの隙間に遠くタワーが見え、まるで宝石を散りばめたかのように東京の街が静かに輝いていた。そのあまりの美しさに、私は思わず息を呑む。
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