運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 ちょうどそのとき、控えめなノック音とともにスタッフが現れ、白い皿に美しく盛りつけられた前菜を静かにテーブルへ置いた。彩り豊かな季節の野菜や繊細に仕立てられた魚介が、キャンドルの灯りを受けてほのかに輝いている。ふわりと立ちのぼる香りに、張り詰めていた空気が少しだけ和らぎ、私は思わず小さく息を吸い込んだ。

「あのころ、毎週木曜日にあの場所に来ていた晴香が、ある日ぱったりと来なくなった。俺が何かしてしまったのかもしれない、そう思っていたんだ」
 美しい所作で食事を口運びながら、優希くんがそう切り出した。
 そんなふうに思ってくれていたことが申し訳なくて、私は慌てて首を振る。

「違う、そんなんじゃないの」
 敬語も忘れてきっぱりと否定すると、優希くんは少し安堵したような表情を浮かべ、言葉を続けた。
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