運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 初恋の人とこうして食事をともにできただけで、もう十分。
 ――明日からまた琴音に立ち向かえばいい。
 そう思ったとき、優希くんが口を開いた。

「そろそろ行こうか。遅くなる。……日本にいるうちに、もう一度会えたらいいな」
 社交辞令のようにも聞こえるその言葉に、胸の奥で「もう会うことはない」と悟りながらも、私は微笑んでうなずいた。

「そうですね」
 立ち上がった、その瞬間。視界がぐらりと揺れ、目の前が真っ白に染まった。

「――酔っていたのか」
 かすかに耳に届いた声を最後に、私は闇の中へと意識を手放していった。




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