運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
「じゃあ、うちの車で」
「それも大丈夫」
 静かに制すると、優希くんは少し思案するような顔を見せたが、すぐに首を横に振った。

「いや、心配だから」
 譲らない彼に、私は観念して「……じゃあ、お願いするね」と小さく答えた。
 本当は、家になど帰りたくなかった。だが、仕事もあるし、家も心配だ。それに今の時間なら――まだ誰にも会わずに帰れるかもしれない。
 優希くんは軽く頷くと、胸ポケットからスマートフォンを取り出し、車を回すように手配をしたようだった。

「晴香、いつなら会える?」
 不意に向けられた問いに、私は一瞬言葉を失った。仕事は忙しいだろうけれど、彼と会う時間くらいはつくれるはずだ。実家のことは、どうせ何をしてもしなくても嫌がらせを受けるのは同じなのだから。

「夜か週末なら」
 そう答えると、優希くんは「わかった」と答えつつそっと私に口づけた。
 どういうつもりで彼が私と関係を持ったのかはわからない。懐かしさからか、それともアメリカに行く前の一時の遊びだったのかもしれない。けれど、それでもいい。そう思えてしまった。
 私はずっと彼を思い続けてきたのだから、後悔はない。そう自分に言い聞かせた――。 

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