貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「指摘された通り、銃で狙撃されたら無理だな。
ここは、森の中で身を隠す場所は山ほどある。
でも、犬がいれば、一定の抑止効果はあるだろう」

ジェシカは首をひねった。

「あの御当主は、狙われるほど危険人物なのですか?」

「バーーーン」

ランス所長は、指先で拳銃を撃つまねをした。

「まず、大金持だ。付き合う女も女優とかモデルとか・・・
両手の指では足らんだろうな。
あの容姿で、若くて金持ちなら当然だ。誰かの恨みを買って・・・」

「でも、「ここにはいらっしゃらない」というお話でしたよね」

ジェシカは、ドッグフードをガツガツ食べている、バリーを見て言った。

「それもそうだな。たまたま来ただけだろう。
明日6時に料理人が来るから、それまでにバリーはリードをつけておけよ。
あと、家令のカートリッジさんの緊急連絡番号も渡しておく」

ランス所長は、業務用携帯を投げてよこした。

「はい、わかりました」

「じゃぁ、しっかりやれよ。あと、次の仕事先も探しておけよ」

そう言うと、ランス所長は帽子をかぶり出て行った。

バリーは食べ終わると、まだ足らなそうに尻尾を振っている。
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