貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「はい、うう・・う、上着は1枚しかないので・・・乾かさないと・・・困るので」

アレックスは、ジェシカの裸足の足を見つめた。
枯草がついている。

「ここにはアイロンはないかもしれないな。
ランドリーは業者が入っているから・・・」

「その・・・ドライヤーでも・・・い、いいですけど・・・」

恐怖なのか、寒さなのか、小刻みに震えがくる。

「臭うな」

その一言で、ジェシカは真っ赤になり、後ずさりをした。

「すみません・・・犬臭いかもしれません。
せっけんで・・・髪を洗ったんですが・・・水しかでなくて」

アレックスがため息をついて、シーツをまとったジェシカを、上から下まで検閲するように見た。

「とにかく、ここで待っていなさい」

「はい・・」

ジェシカは丸椅子に座って、小さな白いお化けのように身を固くしていた。

たぶん・・・もう解雇だろう。

どちらにしても2・3日中に監視カメラの設置工事は終了すると、所長は言っていたし。

「ついてきなさい」

アレックスが、ドア脇で手招きをした。

「はい・・・」

アレックスは紅いじゅうたんが敷き詰められている階段をあがると、部屋のドアを開けた。
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