貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「アレックス様が、そうおっしゃったのですね。
私も詳しいいきさつは、わからないのですが。

そうですね。
アルバート様はすでに結婚をされていたので、公(おおやけ)にはできませんでした」

そうなのか。

不倫関係だったのか、ジェシカはうなずいた。

「その・・・私にマーガレット・ハウザーとして振る舞えと言われたのですが・・・
どのような方なのか、知りたいと思いまして・・・」

「・・・そうですか」

カートリッジは額にしわを寄せて、
ジェシカの斜め横に座った。

「ロートリンデン家は名門貴族で、
御当主のアルバート様は独身の頃から、女性関係も派手なお方だったようです。

マーガレットさんは、アルバート様の会社で、秘書をなさっていました。

最初は、火遊び程度だったようですが、若い彼女は真剣で・・・
そうこうするうちに、妊娠して子どもが生まれました」

大人で金持ち、余裕のある男性に惹かれる若い女性、マーガレット。

ジェシカは、どこかのテレビドラマで見たような話だと感心していた。
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