貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
どう笑っていいかわからず、ひきつってしまう。

「目線をこちらに・・・もう少しあごを引いて」

パシャッ・・・パシャッ

いくつかのポーズを取らされ、撮影が終わった。

「ロートリンデン様に送って、変更があるか確認しますから。
その間に、別の服も選んでしまいましょう」

ピロリン・・・
しばらくすると、スタイリストのスマホが鳴った。

「ああ、お返事ですね。OKです」

やり手のスタイリストは、疲れて座り込んでいるジェシカに声をかけた。

「絹のドレスはしわがよりやすいので、注意をしてくださいね。
化粧品も同じものをご用意します。
あとシャンプーとトリートメントもサロンのを・・・」

ピロリン、また、スマホが鳴った。

「もうすぐこちらにいらっしゃるそうです」

その声で、ジェシカも立ち上がったが、カーテンの影に隠れるように場所を移動した。

隣の客室のドアが少し開いているので、男性の声が聞こえる。

「ロートリンデン様、いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」

ここの支配人らしく、アレックスは馴染みで上客のようだ。

「ああ、思ったより早かったな。
それで・・・」

「今、こちらに・・・」
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