貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
ホテルでの食事
<ホテルでの食事>

高級フレンチでの食事は、素晴らしいものだったと思う。

ジェシカはドレスを汚さないように、気持ちがそっちに集中して出された食事を味わう余裕がない。

「今日は・・・何をしたのですか?」

アレックスはワインで唇を湿らせて、微笑みを浮かべた。

業務報告なのか・・・
ジェシカは時系列で答えをまとめるのに時間がかかった。

「最初に脱毛サロンに行きました」

その答えにアレックスは吹き出しそうになり、すぐに口をナプキンで押さえた。

「ものすごく、ベリッとやられて・・・痛かったです」

アレックスは口を押えたまま、くくくと笑いをこらえているが、ジェシカは真面目だ。

「きれいになるために、痛いのも我慢をしなくてはならないし、本当に努力の賜物なのですね」

ジェシカは目をしばたくと、つけまつげが重くのしかかってきている。
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