貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「あと、お化粧の技術や髪の巻き方なんかも、スゴイです。
時間とお金がかかるのがよくわかりました」

清楚で可憐な妖精が、愚痴っているのは笑える。

「まぁ、女性は・・・美しくなる、そこに生きがいを感じるのでは?」

その問いに、ジェシカの顔が上がった

「前に、農場で働いていた経験があるのですが、収穫の時は朝3時から仕事して、トラックに積みあがった野菜を眺めるのも、充実感がありましたよ」

「ほう、農場の仕事ですか?」

どうやら彼の知らない世界の話のようで、興味を示してくれている。

「ええ、バリーと一緒に働きたかったので。
犬は野生動物の侵入を防ぐことができますし、私は農場で色々な仕事をやりました。
トラクターや、大型トラックも運転できますよ」

農場の取れたての野菜は、驚くほど香りが強くおいしかったし、
何よりもバリーが楽しそうだった。

「それはすごいですね」

ジェシカは話題がつながったので、
やっと緊張がゆるんでアレックスを見た。

「でも、私にアレルギーが出てしまって・・・続けられなくなりました」

「アレルギーですか?」
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