貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
カートリッジは当たり前のことだというように、抑揚をつけず説明をした。

貧乏のどん底から、いきなりお金持ちになったようで、お尻がそわそわして落ち着かない。

これもお仕事なのだから・・・

自分に言い聞かせて、ジェシカはテーブルに置いてあったパンを見た。

今までだったら、ハンカチに包んでバックにしまったけど・・・
ここではしてはいけないのだろう。

「それでは1時間後に出発します」

「その・・・ちょっと待ってください。
今日は、どんな服装で行けば、いいのでしょうか?」

アルバート・ロートリンデンとの初顔合わせだから、失礼のないようにしたい。

「そうですね。
特にアレックス様からは、ご指示は出ていません」

カートリッジはそう言って、食堂から出て行った。

悩んだ末、ジェシカが選んだのは濃紺のスーツ、黒のパンプス、黒のバック。

就活・面接スタイルならば、間違いがないと思ったからだ。
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