貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「世界大会で優勝した、ショコラティエの店のものですね!!マカロンもある!!」

飼い主も心の尻尾を、ブンブン振っているのか・・・
アレックスは笑いがこみ上げてきた。

「やっぱり、君もエサにつられるタイプですね」

ジェシカは少し不服そうに、言い訳も含めて

「まぁ・・・誰でも美味しいものを目の前にすると、否定はできないですね。
すぐにコーヒーをいれてきます。
これもお出ししますよ」

そう言うと、急いでテーブルに散らばったはさみやのり、鉛筆や色紙などを片づけ始めた。

「何をしていたのですか?」

「アルバート様の容態が落ち着いているので、バリーの芸をお見せしようと思って、準備をしていたところです」

床に置いてある、段ボールの中の造花の花輪や、書きかけの画用紙を指さした。

「中庭で輪くぐりとか、計算、あと探索のショーをやる予定です。
施設の職員さんも協力してくださるし、いつもジャーキーをいただいているので、そのお返しです」

そう言うと、ジェシカは胸を張った。
< 61 / 77 >

この作品をシェア

pagetop