貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
白髪の紳士は、ぴしりと決まった立ち姿を崩さずに

「私はロートリンデン家の家令、
カートリッジと申します。
そちらの娘さんが・・・ここの警備を?」

その紳士はあきらかに不審、うろんな目で見ている。

「はい、ジェシカとこの犬が担当いたします。
ジェシカは若いですが、優秀なハンドラーで、バリーは警察犬として、経験豊富な犬です。

こちらのように広い敷地には、犬が一番警備に向いているのでつれてきました」

ランス所長の援護射撃をするように、ジェシカが説明を始めた。

「夜間は、バリーを敷地に放します。
不審者がいれば吠えて威嚇、知らせますし、攻撃してくれば飛びかかって制圧できます」

ジェシカが、言い終えた時だった。

「しかし、相手が銃をもっていたらどうする?
暗視スコープを使われたら、やられるだろう?」

その声に、全員がドアの方に振り向いた。

「アレックス様・・・こちらにいらっしゃるとは・・・」

家令のカートリッジが、慌てて立ち上がった。

まるで映画に出てくる人みたいだ・・・
ジェシカは、その男性を見つめてしまった
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