好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 蒔田のスタンスはいつもこれなのだ。『上司だから関係ない』。彼女はがっくりと肩を落としかけたが、桐沢の質問は続く。

「したら、蒔田さん本人としてはどうなんです」


「面白くはないな」


 即答、だった。驚いたことに。

 襟の辺りを指で触り、視線を下に落としながらも蒔田一臣は一秒足らずで答えたのだった。

 予想外の答えに呆然とする一同を尻目に彼は言葉を続ける。「理由は一つ。おまえが彼女にふさわしくないからだ」

「なっ!? にをぉお……」もはや桐沢のそれは言葉になっていない。

 榎原は口を挟むどころではない。加速する鼓動を抑えるが、やっとだ。

「おまえの話し方はおれのとある知人と酷似している。ちなみにやつは生粋の女たらしだ。そういう理由で、桐沢くん。おまえが榎原くんに近づくことをおれ個人としてはよしとしない」毅然と答える蒔田。

 一方、桐沢は頬を引きつらせながらもなんとか笑おうとしている。

「言ってくれますねえ……」長い前髪に彼は触れる。「おれ、蒔田さんになんか恨み買うようなことしましたかね。知り合いに似てるってだけでそんなボロカス……」
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