好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 かたや、左手には、蒔田側のチーム。フィールドを横切る方向に、短距離でのダッシュを繰り返しているが、……ハーフパンツから覗くふくらはぎが明らかに太い。

 蒔田樹の友人を中心としたチームだそうだ。

「なんか、……本格的やね。アップの仕方がプロみたい」
「そう、だね……て、な、なんで薫がいるの!?」離席した後輩の道林が来るものとばかり思っていた彼女は泡を食う。
 へっへーん、と竹田薫は鼻の下を指でこする。「蒔田樹のおるところに竹田薫あり、ってね。……あの樹が監督やるって聞いたんだもん、顔出さないわけには行かないでしょ」
「はーそー……」ギャラリーは会社の関係者か蒔田樹の知人のみ。ごくごく内輪の練習試合なのに、嗅ぎつけた竹田のことを流石だと思った。「空いてるよ、ここ」
 彼女は左側の席を叩いた。
「サンキュ。飲む?」
「飲む」彼女は差し出されるペットボトルを受け取った。麦茶だ。用意がいい。「サンキュ」
 改めて周囲を見回す。見たことがある会社の人間がちらほら。挨拶をするほどの間柄ではないが。ほかには、選手の妻や子どもなど。第三事業部だと後輩の一色がサッカー部所属だが、彼は欠席、だそうだ。
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