好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 挨拶すべき人間が見当たらないことを確認し、彼女は、友人を見あげて尋ねた。「一人で来たの?」
「うん」まああたしはいつもこうだから、と言って友人はゆっくりと座った。「紘花が来てるからびっくりしたよ。ねえこれどういう理由で組まれた試合?」
「……というと?」声が知らず低くなる。
「樹さんは契約の関係で公式戦以外には遊びでも出られないんだけど、……といっても監督できるなんて聞いたこと無いし。それになんでわざわざ会社員と試合すんのかなあって」

 理由に心当たりはあるのだが、言うわけにはいかない。

 空とぼけて彼女は答えた。「うちの会社、これでも東京都社会人リーグっていう会社関係が参加するリーグで優勝してるの。何部だかまでは知らないけど。結構強いみたいよ。それでお呼びがかかったんじゃない?」
 言いながら彼女は目の端にグラウンド中央、近寄る人影を二つ認めた。蒔田と、桐沢。どちらからともなく声をかけたようだ。会話を始める様子。
 聞き取れる距離ではないが、彼女は意識を彼らに集中させた。
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