好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「さあ……」彼女もなにが起きているかが掴めない。

「そうみたいですよ」

「わ」後ろから声をかけられ彼女は声をあげた。後輩の道林ミカだった。「びっくりした。……でなんで分かんの?」
「蒔田さんと桐沢さんそういうジェスチャーしてましたもん」道林は、両指の人差し指を立ててくるくると回す、バスケの審判がするトラベリングみたいな仕草をする。「口パクでもなに言ってるかあたしだいたい分かるんで」
「なにそれ。読唇術?」思わず彼女は笑って尋ねた。日常生活には取り立てて求められないスキルだ。中高大と女子校に通った道林は、そこで鍛えられたのかもしれない。
「あ。初めまして」すかさず道林は竹田に挨拶をする。見た目や素行がギャルふうな割に案外しっかりしている。
 二人が簡単な挨拶を交わすうちに、二チームは一旦グラウンドから引き上げる。短い休憩のあとにいよいよ試合が始まる運びだ。

 * * *

 このあいだの試合と違って、選手紹介がない。内輪の試合なのだから当然だが、先日観戦した試合と比べて随分と地味に感じた。選手を盛りたてる応援なんかもないし。
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