「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
「ひとりぶんをわざわざ作るんですか」蒔田がお弁当を持ってくるのを見たことがないのだが。
意外な、一面だった。
「まあな。あまり、遅くならないようにな」
会話はこれで終わりと言いたげに、蒔田はキーボードに触れ、タイピングを開始する。
彼女は、ディスプレイに目を戻すものの、意識を蒔田のほうに残したままだった。
蒔田が帰るのは、彼女が帰ったあとだろう。
GLとして管理するプロジェクトが幾つか佳境だから。資料の作成、プロジェクトの進捗管理、などなど、彼にはすることが山積みだ。
彼女は目だけで周囲を見回す。他に残っている社員は、少ない。本社にて行うプロジェクトを『持ち帰り案件』と呼ぶが、持ち帰り案件が概ね落ち着いた、いわばプロジェクトの谷間の時期だ。
彼女は、SE(システムエンジニア)を志望して会社に入社した。が、入社二年目を迎えた四月のある日、自分の所属する第三事業部の『アシスタント』の仕事をするよう言い渡されたのだ。
彼女は、いまでも、そのときの様子を思い出しては、笑いそうになる。
* * *
「アシスタント、ですか? 要りませんよそんなの」
意外な、一面だった。
「まあな。あまり、遅くならないようにな」
会話はこれで終わりと言いたげに、蒔田はキーボードに触れ、タイピングを開始する。
彼女は、ディスプレイに目を戻すものの、意識を蒔田のほうに残したままだった。
蒔田が帰るのは、彼女が帰ったあとだろう。
GLとして管理するプロジェクトが幾つか佳境だから。資料の作成、プロジェクトの進捗管理、などなど、彼にはすることが山積みだ。
彼女は目だけで周囲を見回す。他に残っている社員は、少ない。本社にて行うプロジェクトを『持ち帰り案件』と呼ぶが、持ち帰り案件が概ね落ち着いた、いわばプロジェクトの谷間の時期だ。
彼女は、SE(システムエンジニア)を志望して会社に入社した。が、入社二年目を迎えた四月のある日、自分の所属する第三事業部の『アシスタント』の仕事をするよう言い渡されたのだ。
彼女は、いまでも、そのときの様子を思い出しては、笑いそうになる。
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「アシスタント、ですか? 要りませんよそんなの」