好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「あ」審判の笛が吹かれる。ボールを蹴る、と見せた側がちょん、とボールの位置をずらしてみせた。直接。
 ではなく、走りこんだ蒔田の頭を狙ったボール。
 沢山の男たちが群れ走るなかを、頭ひとつ飛び出た存在。
 ボールを捕らえ、そして、

「決まった!」

 彼女は、大声を出し、立ち上がっていた。わーっ、と道林と手を取り合って喜ぶ。2-0。試合開始からちょうど二十分が過ぎていた。

「いい時間に取れましたねー」と、竹田を気遣う目線を送りつつも、道林は座る。「まあでも、2-0が一番怖いスコアですから」
「そうそう、こっからこっから!」日本代表戦でお馴染みの解説者を彷彿させる、根拠の無い自信とともに竹田は胸を張る。「がんばれー樹さーん! ニッポン! ニッポン!」
「……代表戦じゃないんだから薫……」
「でも、蒔田さん、……足、気にしてません?」
「へ?」
 彼女は、蒔田一臣の動きを目で追う。

 言われてみれば、試合開始直後ほどスピーディに走れていない。

 時折、膝を擦る仕草。
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