好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 そう感じ、彼女は「もういいです」と言って席を立った。

「あたしが勝手に責任を感じてるだけで、蒔田さんには関係ありませんからっ。ちなみにこれからコーヒーを取ってくるところですけど、蒔田さんいりますか? ブラック」

 彼女を見ずに蒔田は短く答える。

「ああ。頼む」

 公私混同を嫌うくせに、こういうときにはちゃっかりひとのことを利用する。

 蒔田のそういうところが、彼女が蒔田を嫌いになりきれない要因だった。

 そして、コーヒーを置くときも、あてつけに黙って置いてもいいのに、「はい、どうぞ」と声をかけるのもやめられないし。

 なにより、蒔田のためにコーヒーを持っていく、ただそれだけのことが彼女の気分を浮き立たせる。

 それが、彼女の責任の在り方を証明していた。


(やっぱり……、好きだなあ、蒔田さんのこと)


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