好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

act23. 残酷なれど真摯な親の告白

 他愛のない雑居ビルのなかの居酒屋に三人で入る。

 取りあえず無難なものを注文し、乾杯をして間もなくだった。


「あ、ごめんなさい、あたしです……」誰かの着信音が鳴る。バッグから取り出した携帯電話を見て彼女は顔色を変えた。「……すみません。ちょっと外出て話してきます、ごめんなさい……」蒔田を見、父親を見て彼女は頭を下げ、座敷から出て行く。


 父親と二人、取り残される。


 どうすればいいのだろう、こういうときは。

 蒔田一臣は小さく肩を竦めた。

(お父さんまだ飲まれますか、などと尋ねてお酌……)

 お酌をする自分など想像もできない。幸い、榎原紘花を除いて二人ともがビールを注文しているが。

「この間、娘が怖い思いをしたらしい……」蒔田の顔を見て父親は、遠慮がちに切り出した。「解決のために、きみが力を貸してくれたそうだね。礼を言う」
「いえ、僕はなにも……」蒔田は首を振った。主に活躍したのは探偵役の彼だ。

 話し合いの場で、蒔田は多少は口を出したものの、筋書きを描いたのは探偵役だ。
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