好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

閑話休題――他人との関係性の構築

 正直に言うと、他人に近寄られるのが苦手だ。



 苦手なあまり、一時声を失い、コミュニケーション不全に陥ったくらいだ。(それがどんなかたちで解決したかは、また別の話だが)


 彼はその病的な状態からは脱したものの、それ以降、他人とどのように関係性を築いたらいいのかが分からなくなった。物事をどう進めてたらいいか分からぬ場合には、所定のやり方をあてがうのが、もっとも簡単な対処法だ。


 彼は、冷たく、他人に接する。


 そうすれば、勝手に他人が萎縮するか離れるかしてくれる。


 他人は、他人でしかなく、どうせ仲良くなれないのだ。


 故郷を同じくするあの友人たちほどには。


 嫌われたほうがいい。嫌われたほうが楽。好かれるほどめんどくさいことは無い。


 何故ならば、『好き』という感情は常に報酬を求める。


 見返りという報酬を。


 その見返りを返す余裕など彼には無いのだから、最初から冷たく跳ね除けるのが一種の優しさだと彼は思っていた。あとあと傷つけるくらいなら最初から関わらないほうがいいのだと。
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