好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 他人とのコミュニケーションの取り方を、そうしたやり方で統一していても、人間と関わるは必然。例えば、大学時代の友人ともそうしたやりかたでも交流は続いていた。


 一定距離を保ったまま他人と接するのだ。


 触れられたくないぎりぎりのラインを保ったままで。


 そこに踏み込む人間は、無視するかすれば二度と相手は関わりたがらない。


 弱い人間ほど、攻撃に出る。


 防御を固めようとするのは、彼自身の脆弱さに起因していることを、勿論、彼は意識していたが、見て見ぬふりを貫いていた。


 必要に迫られねば、人間、自分の弱いところなど見やしない。


 だから彼は、学校を卒業し、会社で働くようになっても、その交流手法がある程度通用することに、満足していた。

 冷たいキャラはときとして重宝される。

 しかし、彼が三十余年かけて構築した防波堤を脅かす人間がここで現れた。


 榎原紘花だ。


 彼女は、彼がどれだけ冷たく跳ね除けようとも、めげずに、食らいついてくる。仕事の面では見事だと思った一面が災いに転じた。

 一年経とうとも二年経とうとも。
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