好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
『好き』という感情を捨て去る様子がない。

 その諦めの悪さを一体どこで仕入れてきたのか知りたいものだが、……第一、こんな自分のどこに惚れたのかを聞いてみたいところだが、そうした質問は相手の炎に火をつけることも分かっている。

 だから訊かない。

 訊けない。

 そうした人間は放置しておくに限るが、……彼女の諦めの悪さに段々、彼はしびれを切らすようになった。

 それに彼自身、彼女の言動に、はっとする場面がある。

 まるで彼女に恋でもしたかのように。

 彼女の言動に見惚れるのだ。

 そうした感情が宿ることを、彼は、『裏切り』だと感じていた。

 自分には、一生貫いて愛そうと決めた人間が居る。

 なのに、こんな簡単に心動かされようなど。

 自分は、もっと強情で、一途な人間だったはずだ。それがどうしたものか。


 こんなふうに揺さぶられるなど。


 そして、問題は、彼自身がそうした分厚くて固い防波堤を築いていること自体が、間違いかもしれないと感じる瞬間が生じてきたことだ。

 自分を揺さぶられる、それは決して不快ではない。

 むしろ、彼女ともっと話してみたい。
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